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「スパイダーマン ホームカミング」の感想。悪役のおっちゃんに思わず肩入れ!

「スパイダーマン」シリーズの最新作となる映画「スパイダーマン ホームカミング」をニュージーランドで観てきました。

ヒーロー映画を観たはずなのに、悪役のおっちゃんが超カッコイイという倒錯した感想を得ました。おじさま好きにはたまらない作品となっておりますよ。

10点満点中8点

15歳のヒーローの成長の物語

主人公のスパイダーマンことピーター・パーカーは「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」に続いての登場。

15歳の高校生という設定です。要するに、まだまだ子供。アイアンマンことトニー・スタークにも「アベンジャーズにはまだ早い」と正式加入を断られています。

今作は、未熟なヒーローが大人になるための成長の物語なのですよ。

もちろんヒーローとしての成長は欠かせません。またアベンジャーズとともに活躍できる機会を求めて、ピーターくんは放課後のパトロールに精を出す日々。トニー・スタークに認めてもらいたい一心なのですが、どうにも空回りしてしまい、事態をひとりで収拾できないことが続きます。しまいにはトニー・スタークに愛想をつかされスーツを取り上げられてしまう始末。ここからどう一人前のヒーローになっていくか?は重要な見どころです。

が、が、が、それよりももっと重要なのは大人の男になるための試練、つまり恋愛ですよ。

タイトルにあるホームカミングとは、アメリカの学校で行われるパーティーのこと。ピーターが想いを寄せる美少女・リズとの恋の行方も大きな見どころで、このホームカミングにおけるダンスイベントが大事な場面として用意されています。

思春期の恋なんてのはそうすんなりとはいかないものですが(思春期に限らないか)、ピーターくんの場合も一筋縄ではいきません。「うえええええ!?」と声が出るくらい、とんでもない障害が待ち受けている。この試練をどう切り抜けるのだ、ピーターくん!!

悪役の「バルチャー」が見せる大人のカッコよさ!

身も蓋もないことを言っちゃいますが、この映画で一番カッコイイのは、なんといってもマイケル・キートン演じる悪役「バルチャー」ですよ。

悪役と書いたものの、彼は完全な極悪人というわけではありません。頼れる町工場の社長って感じのおじさんで、危ない稼業に手を染めるのも、家族と社員を養うため。さらに元はといえば、それはアイアンマンことトニー・スタークのせいでもあるのです。

ってわけで、観客は彼のことを憎い敵としては見れないんですよね。ポリシーがあって、守るもののために行動している。冷静でめったに感情を表に出さず、信念を持って自身にあふれている。この大人の余裕! 正直、承認欲求の塊であるスパイダーマンより断然かっこいい。

対決シーンでは、

バルチャー「お前はまだ世界の仕組みをわかってない!」
ピーター「でも犯罪は犯罪だろー!」

というやり取りがあるんですけど、もう、ピーターがただの純粋まっすぐ君にしか見えなくて痛々しいですね。きれいごとだけじゃ世界は回らないんだよ、少年! 世の中の酸いも甘いも見てきた、人生経験豊富な大人たちほど、バルチャーの方を応援したくなっちゃうんじゃないでしょうか。

このカッコイイおじさまの声を聞くだけでも劇場に足を運ぶ価値があるというものです。

上映時間は2時間強ありますが、まったく長さを感じさせないスピード感。高所恐怖症の人にはかなり刺激の強いシーンがあるのでそこだけご注意を。あ、あとエンドロールが終わるまで絶対に席を立っちゃだめですよ!

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