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「銀河ヒッチハイクガイド」の感想。謎の感動が待ち受けるドタバタSFコメディの傑作!

小説やマンガが原作の映画は数あれど、映画版を観れば原作は読まなくていいってレベルのものはそんなにない。
「銀河ヒッチハイクガイド」はその数少ない映像化の大成功例だと思う。

さえないイギリス人、アーサー・デント(マーティン・フリーマン)は、ある日、バイパス建設に伴い自宅を強制的に取り壊されそうになってしまう。役所の担当者に必死に抗議するアーサーだが「建設計画書は市役所にずっと掲示してあったでしょう」とまったく聞き入れられない。


そこに友人のフォード(モス・デフ)が急いでやってくる。彼はアーサーをパブに連れ出し、ビールをがぶ飲みしながら「もうすぐ世界が終わる」「おれはベテルギウスのそばにある惑星から来た宇宙人だ」と意味不明のことを口走る。


困惑するアーサーだったが、そこに宇宙から謎の大船団が飛来。宇宙船を駆る"ヴォゴン人"は、これからバイパス建設のため地球を破壊すると世界中に宣言し、地球はパニックに陥る。ヴォゴン人は「建設計画書はケンタウルス座α星に50年間も掲示してあった」と冷酷に告げ、次の瞬間、地球は粉々に破壊されてしまう。


間一髪でヴォゴン人の宇宙船に"ヒッチハイク"で乗り込むことに成功したアーサーとフォードは、紆余曲折の末、アーサーがかつて仮装パーティーでいい感じになったトリシア(ズーイー・デシャネル)と、アーサーの目の前で彼女をナンパしていった"銀河帝国大統領"ゼイフォード(サム・ロックウェル)、そして鬱病のロボット・マーヴィンとともに宇宙放浪の旅に出ることになる。


その旅の終わりには、「生命、宇宙、そして万物についての答え」*1にまつわる壮大な謎が……。

……と、あらすじを書いてみて、あらためてムチャクチャな映画であることを再認識しております。
劇中、書ききれないくらいムチャクチャなことが矢継ぎ早に起きるのですが、それを列記することはダジャレの解説をするのと同じくらい無粋なのでやりません。

原作は、ダグラス・アダムスのカルトSFコメディ小説。

この映画がすごいのは、元ネタのしっちゃかめっちゃか感をあらゆる手段で表現しにかかっていること。

たとえば映画の冒頭部分、プールを泳ぎ回るイルカ、のりのりのオーケストラとコーラスで世界の破滅を予感させるって最高にカオスじゃないですか。

要所要所では便利アイテムに関する「説明しよう!」的な解説をアニメでかましてくるし、宇宙船はワープするたびに乗組員が変身するという謎設定なのでいきなりストップモーションアニメが始まったりと、まさに変幻自在。

醜悪な宇宙官僚・ヴォゴン人、絶妙にキモかわいいカニ、生けるほんやくコンニャク・バベルフィッシュなど、ゆかいなクリーチャー造形でも楽しませてくれます。

映画があまりに気に入ったんで、あとで原作小説も買って読みました。
でもねー、映像化が見事すぎて、小説読んでも大して感動しなかったんですよ。
むしろこのドタバタ感を楽しむには、映像と音楽のほうが向いてると思う。

ご都合主義に次ぐご都合主義なストーリーに「ねーよwww」と笑い転げていると、最後の最後に謎の感動が待っている。
白眉のスラップスティック・ムービー、ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

*1:Googleに聞くと答えがわかります。検索してみよう!

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