【ネタバレ無し】「ファンタスティック Mr.FOX」の感想。話の設定以外は100点満点
「ダージリン急行」「グランド・ブタペスト・ホテル」などの作品で知られる監督、ウェス・アンダーソンの手がけたアニメーション映画『ファンタスティック Mr.FOX』を観ました！
原作は『チャーリーとチョコレート工場』などで知られるイギリスの作家、ロアルド・ダールの児童書。
制作には実に2年を費やし、狐やネズミなどの動物たちが滑らかに動き回るストップモーションアニメとして作られました。
声の出演も、ジョージ・クルーニーやメリル・ストリープなどめちゃくちゃ豪華です！
この映画の感想をネタバレ無しで書いていきますよ。
10点満点中6点
「ファンタスティック Mr.FOX」のあらすじ・キャスト
【あらすじ】
狐のミスター・フォックスは、妻のミセス・フォックスとともに人間の農場から盗みを働いて生計を立てていた。
しかし、妻の妊娠をきっかけに泥棒稼業から足を洗い、いまでは新聞記者として真面目に働く毎日。
ところが、悪名高い農場主たちの近くに引っ越したことから本能が目覚め、ふたたび盗みに手を染めてしまう。
これが人間たちの怒りを買い、フォックス一家のみならず周りの動物たちの生活までもが危険にさらされる。
家族や友人を守るため、さらにオスとしての誇りを取り戻すために、ミスター・フォックスは人間との全面戦争を始めるのであった！
【キャスト、基本情報】
声の出演: ジョージ・クルーニー、メリル・ストリープ、ジェイソン・シュワルツマン、ビル・マーレイ、ウィレム・デフォー
監督: ウェス・アンダーソン
原作: ロアルド・ダール『父さんギツネバンザイ』
上映時間: 87分
ネタバレ無し感想。動物が人間みたいな暮らしして「自分たちは野生だから」ってのはなぁ……
「ファンタスティック Mr.FOX」は、映画全体としてはとってもオシャレで楽しい作りになってます。
キツネを始めとする森の動物達がパリッとしたスーツに身を包み、人間を翻弄しながら大胆に盗みを働いたり戦いを仕掛けたりするってストーリーは、観ていて単純に痛快です。
まるで横スクロールのアクションゲームで遊んでいるかのような、ウェス・アンダーソン監督独特の画面づくりもおもしろい。
テンポの良い場面転換、カントリーを意識した劇中音楽なども軽快さを盛り上げてくれています。
主役のミスター・フォックスの声を当ててるのが「オーシャンズ11」でおなじみジョージ・クルーニーってのがまたシャレてますね。
ただ、そもそもですね……
「動物たちがまるで人間のような暮らしをしている」って設定のお話、どーにも受けつけないんですよ。
肉食動物であるはずの狐が、スーツを着てパンケーキの朝食食べてるって、いかにも人間のエゴまるだしの想像力だなーって印象を受けてしまうのです。
彼らが使ってる食器とか冷蔵庫とか車（！）とか、どこで誰が作ってるんだよ笑
単なる個人的な好みの問題ってことはわかってるけど許してちょ……
さらにタチが悪いのは、「ファンタスティック Mr.FOX」のテーマです。
ミスター・フォックスが野生を取り戻すって物語なのに、彼らは最初っから人間のような格好をして人間のように振る舞ってるんですよ。
いかにも人間の都合のいいようにねじ曲げられた"野生"って感じがしてしまう。
野生といいつつ結局は人間の営みに依存しなくては生きていけない、都市周辺の動物の皮肉なのかなぁ〜 考えすぎかなあ〜〜。
それにコレ、なんとなく動物たちが意地悪な人間に一矢報いてやったいい話みたいになってるけど、人間側は悪人っぽい顔に描かれてるだけで別に悪いことしてないよね？
ただ農場経営してるだけなのに、「おれの野生がうずくんじゃぁ〜〜」的な、狐の勝手な言い分に巻き込まれて被害をこうむっちゃたまらんでしょ。
たしかに狐一家の家を掘り返して皆殺しにしようとするのはやりすぎかもしれないけど、最初に手を出してきたのは狐のほうじゃん。
そういえば『ピーターラビット』も似たようなお話でしたねぇ。
両方ともイギリスの作品なのも気になります。
もしかすると英国人の間には、人間たちの目線から迷惑者扱いされている動物たちへの負い目みたいのがあって、それが動物たちの一方的な言い分を正当化する作品群を生み出している……のかもしれません。
と、いうことで「ファンタスティック Mr.FOX」、画面の作りから音楽からキャラクターの造形からめちゃくちゃよくて100点満点といってもいいほどなんですが、話の設定だけどーしても気に入らないので星3つとさせていただきます。
繰り返しますが、あくまで僕の価値観に合わなかったというだけですので……
おとなも子供も楽しめる良質のアニメーション映画ですよっという点だけ強調しておきますデス。
