【ネタバレ無し】「仁義なき戦い 完結編」のあらすじ・感想。文太さんが全然出てこないのにおもしろい！
深作欣二監督によるバイオレンス映画の傑作「仁義なき戦い」シリーズ。
その5部作ラストをかざる作品「仁義なき戦い 完結編」を観ました！
ネタバレ無しで感想を書いていきます。
10点満点中10点
「仁義なき戦い 完結編」のあらすじ・キャスト
【あらすじ】
警察の"頂上作戦"により、広島ヤクザの幹部クラスが次々と逮捕されてから数年後。
旧山守組の若頭であった武田明のもと、かつてのヤクザたちは政治結社「天政会」に形を変え、新たな形での生き残りを図っていた。
若き理事長・松村保による脱暴力の方針がおしすすめられる一方、武闘派の大友勝利のようにそれを快く思わないものもおり、決して一枚岩とはいえない状態にあった。
そんな中、天政会とは敵対関係にある市岡組の者により、天政会参与の杉田が射殺される事件が起きる。
この事件に対する姿勢の食い違いから、天政会は内部分裂の窮地に陥ってしまう。
その頃、北海道の網走刑務所では、広島ヤクザ抗争の最重要人物である広能昌三の刑期満了が刻一刻と近づいていた……！
【キャスト・基本情報】
出演: 菅原文太、小林旭、北大路欣也、宍戸錠、松方弘樹、山城新伍、田中邦衛
監督: 深作欣二
上映時間: 97分
ネタバレ無し感想。ヤクザ社会の新時代を決定づける完結編！
「仁義なき戦い 完結編」、まさかこんなにおもしろいとは思いませんでした！！
広島ヤクザ抗争が沈静化した後の世界を描いた作品であり、ぶっちゃけ蛇足なんじゃないかと予想してたんですけど、いい意味で裏切られましたよ。
人間同士の戦いを描いた映画やドラマの宿命として、戦争が一段落すると物語全体もトーンダウンしてしまいがちってのがあります。
戦国時代を扱った大河ドラマなんかでも、一番おもしろいのは勢力同士が大決戦に突入するまでであって、勝った負けたがはっきりしちゃうと観ている方も落ち着いちゃうわけですよ。
「仁義なき戦い」シリーズも第3作「代理戦争」までは抗争がどんどんと激化して手に汗握る展開だったのですが、第4作「頂上作戦」で事実上の完結編となり、当然ながらすべてが収束に向かっていきました。
実際、深作欣二監督も「頂上作戦」でシリーズを終わりにするつもりだったらしいんですよね。
そんな中で制作されたのが「完結編」ってわけ。
戦後直後から暴力の世界で生き残ってきた旧世代 vs 世代交代を虎視眈々と狙う次世代の戦いをフィーチャーすることで、元々の「仁義なき戦い」がもっていた暴力描写を大胆に取り戻し、さらに新しいキャラクターも登場、見ごたえあるドラマになっております！
無理やり続編作って大ゴケするケースはよくあるけど、本作は大成功ですな
さて本作「完結編」は、「頂上作戦」で広島ヤクザの幹部クラスがこぞって刑務所送りにされ、暴力団組織そのものが壊滅状態になってから数年後が舞台。
シリーズの主人公である広能昌三（菅原文太）は、いまだに網走刑務所で懲役7年の刑に服役中です。
本編が始まってから1時間以上経っても、文太さんはまともに画面に出てきません。
いやいや……そんな主人公不在のドラマなんてある〜〜〜！？ って心配になりそうなところ。
しかし、それ以外の登場人物がめちゃめちゃ個性的なので、文太さん抜きでもちゃんと成立するのが「仁義なき戦い」のスゴさなのです。
第2作「広島死闘編」でも文太さん全然出てこなかったけど映画としては超絶おもしろかったですから。
かわりに前半の実質的な主人公となるのが、広島ヤクザの新統一組織「天政会」を率いる武田明（小林旭）。
そして彼の右腕であり、次世代のヤクザを代表する人材である松村保（北大路欣也）です。
特に、武田からの信頼をうまく得ながら影響力をじわじわ広げようとする松村が"こわカッコいい"。
広能や武田のほか、シリーズ初期から登場している江田（山城新伍）、槙原（田中邦衛）などの古参ヤクザ、さらには「広島死闘編」以来の登場となる大友勝利（宍戸錠）など、広島裏社会で長らくその名を馳せた大物の運命にも注目。
かつて戦後の混乱のなか、青春のエネルギーをもてあましてきた彼らも、いつしか頭には白髪が混じり壮年となりました。
若い世代がどんどんと台頭してくる中、彼らの身に待ち受ける運命とは？
第1作から観続けてきたファンにはたまらんですよ！！
