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映画「犬ヶ島」に出てくる黒澤明オマージュまとめ!

ウェス・アンダーソン監督の最新作「犬ヶ島」
監督自身が「黒澤明に強く影響された作品」と明言しているとおり、劇中には黒澤明映画へのオマージュがいたるところに隠されていました。
かなりたくさんあったので記事にまとめてみましたよ〜。
さっそく見ていきましょう!!

注意: この記事には「犬ヶ島」の内容に一部触れている部分があります! まだ観ていない方は注意してください。

「犬ヶ島」の舞台である島は「どですかでん」のオマージュ

追放された犬たちが暮らす、ゴミだらけの島。
黒澤明の映画にも「どですかでん」という、登場人物たちがゴミに囲まれて暮らす設定の作品があります。
この舞台設定をそのまんま借りてきたのが「犬ヶ島」なんですね〜。


アタリ少年が犬たちに救助された後、色とりどりのガラス瓶で作られたシェルターのような場所で一夜を過ごすシーンがありますが、あそこなんか「どですかでん」のオープニングの色づかいそのまま!
キャラクターを影絵で登場させる演出も一緒ですね。

小林市長の顔は三船敏郎

アタリ少年の敵役として登場する小林市長
彼の顔は、昭和の名優・三船敏郎の顔になっています。

三船敏郎は黒澤明監督の全盛期を支えた俳優で、全30作品ある黒澤映画のうち半数の15本に出演しました。
その名声は世界中にとどろき、現代の映画クリエイターたちにも影響を与え続けています!

「犬ヶ島」とおなじ2018年に公開された「レディ・プレイヤー1」でも、キャラクターの1人・ダイトーが三船敏郎の姿で登場していました。
三船自身は1997年に亡くなっているんですが、まさか死後20年以上たってハリウッド映画に自分が出演することになるとは、本人は想像すらしてなかったでしょうね〜。

6匹の犬 + アタリは「七人の侍」のオマージュ

映画の序盤から登場するチーフ、キング、ボス、デューク、レックスの5匹とアタリ少年、そして彼らが探している犬・スポッツ。
全部で6匹と1人 = 7人、ということで間違いなく「七人の侍」を意識してますね(断言)。

ぜんぜん冗談でもなんでもなくて、主人公たちが7人のチームを組んで戦うという設定を世界ではじめて採用した映画が「七人の侍」なんですよ。
これが世界中で絶賛されたので、その後ハリウッドでも「荒野の七人」というほとんど盗用のような作品が作られたし、最近になっても「バグズ・ライフ」「マグニフィセント・セブン」などのフォロワー作品が続々と生まれているんです。

「犬ヶ島」では「七人の侍」のメインテーマがそのまま流れていました!
チーム全員を象徴した旗を掲げるシーンも、ほぼ間違いなく、「七人の侍」で印象的に使われている旗のオマージュでしょう。

「メガ崎市」は「天国と地獄」の舞台になった茅ヶ崎市のもじり

「犬ヶ島」の主な舞台となっている街「メガ崎市」は、おそらく「茅ヶ崎市」が由来でしょう。

茅ヶ崎市は、子供の誘拐事件を扱ったサスペンス映画の傑作「天国と地獄」の舞台です。
劇中、水平線の向こうに富士山っぽい山が見えていますが、これが「天国と地獄」の中に出てくる絵にそっくりなんですよ。
子供の描いた絵なのでバランスがおかしいんですけど、そのまま採用してますね笑


黒澤明にゆかりの名前があちこちに使われている!

「犬ヶ島」の中には、黒澤明監督にゆかりのある名前がいろんなところに出てきています。

まず、小林市長と対立する渡辺博士
これは映画「生きる」で主演の志村喬が演じた渡辺課長から取られていますね。
ちなみに顔は「天国と地獄」に登場する山崎努がモデルになっていて、彼が軟禁されていた旅館の名前は「東宝館」でした。

次に、交換留学生のトレイシーがホームステイしている家。
この家は「菊千代家」だそうですが、笑
皆さんご存知、「七人の侍」で三船敏郎が演じた役名がその由来となっています。

さらに、ハッカーの少年の飼い犬の名前が「権藤」となっていました。
これは「天国と地獄」での三船敏郎の役名です。

ほかにも、小林市長の名前はおそらく「どですかでん」を黒澤明とともに共同制作した映画監督の小林正樹が由来なんじゃないかと思います。
あとは小林市長の側近で日本髪を結った「北野」という人物がいましたけど、間違いなく北野武がモデルでしょう笑
どっちかというと「世界まる見え!テレビ特捜部」で毎週かぶりものを披露していたころのビートたけしがモデルかな?


「犬ヶ島」黒澤明ファンにはたまらない映画になっておりました!
生きてるうちにこんな作品が観られて感動です。
ありがとう、ウェス・アンダーソン!!

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