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【ネタバレ】「未来のミライ」のあらすじ・感想。主題歌だけはいい映画

「時をかける少女」「サマーウォーズ」などで知られるアニメ監督・細田守の最新作となる映画「未来のミライ」をニュージーランドで鑑賞してきました!

すっかり日本の夏の風物詩となった細田守作品。
毎度かなりの激論を呼ぶ、攻めた映画を発表してくれていますが、今作はどうだったのか?
ネタバレありで感想を書いていきます。

10点満点中2点

「未来のミライ」のあらすじ・基本情報

【あらすじ】
主人公のくんちゃんは、太田家の4歳になる長男。
両親からの愛情を一心に受けて育っていたが、太田家に妹の未来が生まれてからというもの、お父さんもお母さんも未来にかかりっきり。
未来に嫉妬してしまったくんちゃんは、彼女の頭を新幹線のおもちゃで殴ってしまい、母親にこっぴどく叱られる。
くんちゃんが疎外感のあまり庭へと出たところ、謎の男が話しかけてきて……


【キャスト・基本情報】
監督・脚本: 細田守
出演: 上白石萌歌、黒木華、星野源、麻生久美子、吉原光夫、宮崎美子、役所広司、福山雅治
上映時間: 98分

ネタバレあり感想。素敵なシーンは多いのに雑なストーリーのせいで台無し!

「未来のミライ」、ひとことで言って期待はずれの映画でした……
98分と比較的短い映画のはずなんですが、上映時間がものすごく長く感じちゃったんですよね。
その原因はどこにあるのか?と考えると、
ストーリーテリングが異様に雑だからではないかと思います。

中盤以降のストーリー構造は、
くんちゃんが庭に出る → 見慣れない空間にワープ → 謎の人物に出会う
の繰り返しです。

「謎の人物」が、太田家の家族の過去や未来の姿であることは早々と種明かしされます。
で、観客が知りたいのは
「どうしてくんちゃんはワープしちゃうの? どうして未来はタイムスリップしてきたの?」
ってことでしょ。
にもかかわらず、ワープの仕組みも、未来がタイムスリップしてきた理由も、ヒントすら示されない。
何の手がかりも与えてもらえないので、観ている側としては興味がどんどん薄れていっちゃうんです。

じゃあ、ワープの謎解き以外で魅力あるストーリーが展開されるのかと思いきや、
「未来ちゃんと仲良くできない!」とぎゃーぎゃー泣きわめくくんちゃんをただただ見せられるばかり。
なにこれ拷問? 観客を育児ノイローゼにさせたいの??


子育て経験者とそれ以外で賛否が分かれそうではある

伏線っぽいのにどうでもいい要素が多すぎる!

「未来のミライ」のもうひとつの問題は、いかにも伏線っぽいのに物語にぜんぜん関係ない要素が多すぎるって点です。

未来の右手にあるアザなんて、どう考えてもなにか秘密があると思うでしょ!?
ところがどっこい、物語においてまっっっったく重要な役割を果たしません。
「未来の手である」ことを示すためだけなら、あんな目立つアザじゃなくてホクロでもいいじゃん。
それを序盤で映しておくだけで十分な伏線になるのに……
わざわざ役所広司にセリフで説明までさせているのにどうでもいい要素だなんてびっくりだわ。

「未来がなぜ雛人形にこだわっているのか」もかなり謎。
だってタイムスリップしてまで片付けさせに来たんだよ?
まさかほんとに「好きな人と結婚できないかもしれないから」だけなの??
そこは、結婚のチャンスを逃したばかりに太田家に子孫が残せなかったとか(これもひどい理由だけどね)、
もっと深刻な理由で歴史を変えるためにやってきたとかじゃないと話が通じないのでは……

お母さんも言ってる通り、お雛様を片づけると婚期が遅れるなんて「いまどき誰も信じない言い伝え」なんだよ。
にもかかわらず、未来の女子高生がまともに信じるなんてそれなりの理由が必要でしょーよ。


くんちゃんの声がぜんぜん子供じゃないのも何か意味があると思ってたよ!


ひとつひとつのシーンはめちゃくちゃ綺麗。それだけにストーリーの雑さがもったいない

細田守作品だけあって、それぞれのシーンはすんげ〜綺麗でしたね。

未来の東京駅のシーンはさすがに興奮しました。
多言語対応のディスプレイに、構内を縦横無尽に走る路線には「20年後はこうなってそう!」というリアリティを感じたし、
同時に駅をゆきかう人々の顔が極端に単純化されている様子には「パプリカ」をほうふつとさせる悪夢感がありました。
「あなた自身を無くしたということですね?」な〜んて語りかけてくる遺失物係ロボットとくんちゃんとのやり取りにもぞわぞわしたぞ。


そういえば、くんちゃん「未来」は読めないのに「落とし物」は読めるんだね


ほかには魚群の中を泣きながら泳いでいくくんちゃんとか、
家系図のインデックスに飛びこんでいく場面などなど、
印象的な場面は数知れず。

だからこそ!
全体のストーリーの雑さがもったいなさすぎる!
お話さえしっかりしてたら各場面の魅力ももっと上がったはずなのに……
つくづく残念な映画でした。

全編通してよかったのは山下達郎の主題歌ですなぁ〜。
スタッフロールが一番いい映画ってのも悲しいもんです、いやはや。

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