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【無料あり】「おおかみこどもの雨と雪」のあらすじ・感想。避妊の大切さを教えてくれる映画【ネタバレ】

現代日本を代表する
アニメーション監督である細田守。

彼のオリジナル長編アニメ第2作であり、
初めて脚本も手がけた作品
「おおかみこどもの雨と雪」
を観ました!

ファンタジーテイストあふれる
家族ドラマとなった今作、
ネタバレありで感想を書いていきます。

10点満点中3点

「おおかみこどもの雨と雪」の予告編・あらすじ

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東京の大学に通う大学生・は、
ある日の講義で教科書も持たず
必死にノートを取る青年を見つける。

周りの学生たちと異なる
彼の雰囲気に惹かれ、
花は彼に話しかける。

それがきっかけで
2人は急速に距離を縮め、
同棲する仲になるが、
なんと彼の正体は
「おおかみおとこ」だった。

彼の秘密を受け入れ、
さらに「雪」「雨」という
ふたりの子供まで授かった花。

しかし、ある豪雨の日に
突然彼が死んでしまう。

おおかみの血を引く
ふたりの子供を育てるため、
花は自然の豊富な田舎へと
引っ越すことを決意する……

「おおかみこどもの雨と雪」のキャスト

・花: 宮崎あおい
東京の大学に通う女子学生。

「彼」と出会って同棲を始め、
子供を育てながら勉学に励むが、
彼の死後は休学して育児に専念する。

亡き父の教えから、
辛いことがあっても
常に笑いを絶やさないようにしている。


・雪: 黒木華
花と「彼」の長女。
幼い頃はかなりおてんばだったが
次第におとなしくなり、
完全に人間として生活したいと
思うようになる。


・雨: 西井幸人
花と「彼」の長男。
もともと内向的な性格だったものの、
あることをきっかけに
「おおかみ」としての
野生に目覚め始める。


・彼: 大沢たかお
大学の授業に潜り込んでいた青年。
正体は「おおかみおとこ」であり、
ときどき狼の姿に変身して
狩りをしていた模様。
雨が生まれて間もなく、
近所の川で遺体で発見される。


・韮崎: 菅原文太
花の引越し先に住んでいる老人。
普段は無愛想だが、
農業のコツを花に教える。

「おおかみこどもの雨と雪」のネタバレあり感想。主人公たちの倫理観が謎すぎる!

「おおかみこどもの雨と雪」、
登場人物たちにすんなりと
感情移入できた人は
どれだけいたんでしょうか。

僕は序盤から、
母親の花にぜんぜん感情移入できなくて
びっくりしましたよ。

というのも、
"おおかみの血を引く秘密を知られてはならない"
って掟を重要視するあまり、
花の行動がぜんぜん子供のことを
考えてない結果になっちゃってるからです。

出産のシーンからまずもっておかしくて、
夫婦は長女の雪を
自宅で出産することを選ぶのですが
(助産師にも頼らずに!)

その理由が
「おおかみの姿の子供が生まれたら、お医者さんがびっくりするから」
だって言うんですよ。

いやどういうことだってばよ!

そこは
「子供に何があるかわからないから」
とかのセリフにしないと客がついてこれないし、
なにより子供よりも
医者とか掟を優先しちゃってんのはどーよ。

「花が雪に語っている内容だから」
という言い訳はきくかもしれないけど、
わかりづらいってば。

「雪が病気になったときに、
小児科か獣医かどっちに見せるかで悩む」
って場面もギャグになってないでしょ。

そこはどっちでもいいから
医者に連れていかないと
手遅れになるかもしれないんだぞ?
子供の命を優先するべきだろ!

"おおかみこども"という特殊な子を授かり、
掟を守りながら女手ひとつで子育てをする花。

ほんとであれば
観客が自然と応援したくなる
キャラクターのはずなのに、
彼女の行動が
あまりに雪と雨のことを考えていないので

「薄情な母親」「周りに頼るのが下手くそすぎ」
ってな風に見えてしまうんですよねぇ。


子供への予防接種すら受けさせてないみたいだし、そりゃ児童虐待と言われても仕方ないよ

花の異常なまでの献身は、もはやドン引きするレベル

おおかみの秘密を守るために
誰からの手助けも受けず、
雪と雨を育て続ける花の姿。

感動を通り越してドン引きするレベルです。

せっかくの大学を中退して、
彼ののこした貯金を切り崩しながら
兄弟の面倒をみて、

ところかまわず変身してしまう
ふたりを遊ばせるために
早朝の公園まで散歩にでかけ、

洗濯はもちろん、
食事も市販品に頼らず
イチから手作りして……


もういいから休めよ! 頼れる友だちとかいないのかよ!!


田舎に引っ越してからも、
自分だけで廃屋のリフォームから
畑の手入れからすべてやってしまうし、
これ普通の人なら耐えられないんじゃないの。

どんなつらい状況でも、
亡き父親の
「無理してでも笑っていれば、
たいていのことは乗り越えられる」
との教えを守り、

声を演じる宮崎あおいそのまんまの
アヒル口で笑みを浮かべながら
子育てに取り組む花。

なんだか、
「いつでも笑ってろ」ってのが呪いのように思えてきてしまいます。

韮崎のおじいちゃんが
「なんで笑うんだ。へらへらするんじゃない!」と
一喝してくれたときには
「おっ?
ひょっとして今までのは前振りで、
花の行動がここから変化するのか?」
と期待したんですが、
結局は韮崎のほうが
花に丸め込まれてしまう始末……

運良く韮崎に気にいられたがために、
花は村の人達から手助けして
もらえるようになります。

しかし、これだって
花がそこそこ愛嬌のある若い女性だったからじゃないの……
と邪推してしまいますわ。

役場の人の話では、
韮崎はあまり人当たりのよくない人物だったみたいだし。
花のなにかしらの行動が彼の心を動かした、
というお話でないと、
韮崎の人物像すら薄っぺらく見えてしまうよねぇ。

自分のプライベートを完全に犠牲にして
子供のために尽くし続けた花が、
ラストシーン近くで
雨に語りかけるセリフを聞くと、
もう胸が痛みます。

自らをとことんまで追い込み、
それでもなお働き続ける
過労死寸前の社畜を見ているかのよう。

子育てものの物語って、
子供の成長が親にとっての喜びとして
描かれるのが普通だと思うんですけど、

「おおかみこどもの雨と雪」に関しては、
「子育て = 呪縛」「子供の成長 = 呪縛からの解放」
のように感じられちゃう。

花がここまでの呪縛に
なぜとらわれてしまったのか、
原因は簡単ですよね。

避妊せずにセックスした「おおかみおとこ」のせいじゃん。

ぜんぶお前が悪い

子供つくって、
子育ては母親にまかせて、
突然いなくなってしまう無責任な男……

"彼"は不慮の事故で死んでしまっただけに
あまり責められないかもしれないけど、
それにしても花がまだ学生だというのに
子供つくって休学させて、
しかも年子の子供まで
つくっちゃうというのは、

なんだかなぁ〜
家族計画とかないのかなぁ〜
なんて考えてしまいました。

「大事なパートナーを花みたいな目にあわせたくなかったら、ちゃんと避妊しようね!」
って意味の映画なのだと思いました、はい。


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