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【後半ネタバレ】「パシフィック・リム アップライジング」のあらすじ・感想。キャラ、舞台、設定、何もかもが粗末に扱われすぎ!

おめぇ……続編作るなら前作もっと大事にしろよ!!

大変すみません。
怒りで声が震えております。

日本では4月13日から公開になる「パシフィック・リム:アップライジング」を、一足先にニュージーランドで鑑賞してきました。

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前作では「シェイプ・オブ・ウォーター」で2018年のアカデミー作品賞に輝いたギレルモ・デル・トロがメガホンを取りましたが、制作スケジュールの遅れなどでやむなく降板。
テレビドラマ「スパルタカス」などの脚本を手がけたスティーブン・S・デナイトが代わりに監督を務めました。
また、前作で主演したチャーリー・ハナムもスケジュールの都合がつかずに降板。
かわって、「スター・ウォーズ」続3部作でティムを演じているジョン・ボイエガが今作の主役となります。

……と、やたら制作に不安がつきまとう「アップライジング」ですが、その不安通りの内容になってしまったようです。

10点満点中3点

「パシフィックリム アップライジング」のあらすじ・基本情報

【あらすじ】
カイジューとの戦いが終わってから10年後。
自らを犠牲に世界を救った司令官・スタッカーの息子、ジェイクは、いまや廃棄されたイェーガーの部品を闇市場に流して生計を立てるまでに落ちぶれていた。
ある日、いつものように部品を盗もうとしていたジェイクだが、ついに環太平洋防衛軍に捕まってしまう。
取調室で森マコと再会したジェイクは、彼女から「逮捕されるのがいやなら、イェーガー新人パイロットの教育責任者として中国に向かってほしい」と要請される……。


【基本情報】
監督: スティーブン・S・デナイト
出演: ジョン・ボイエガ、スコット・イーストウッド、ケイリー・スピーニー、チャーリー・デイ、バーン・ゴーマン、ジン・ティエン、菊地凛子
上映時間: 111分

ネタバレなし感想。前作の続編を期待するとガッカリするぞ

「パシフィック・リム:アップライジング」、端的に言ってひどかったです。

映画館で観る前日、しっかりと前作「パシフィックリム」を復習していきました。(前作の内容を踏まえたストーリーになってるので、観てない人はチェックしときましょう!)

巨大ロボット(イェーガー)と巨大モンスター(カイジュー)の格闘戦、
個性豊かなイェーガーとカイジューの造形、
そして魅力的な登場人物たち……

続編では、「パシフィック・リム」の魅力がいったいどうパワーアップしてるのだろう?
そんな期待を抱いて劇場に足を運びました。

……なんと!
前作でワクワクしたポイントが、ぜんっぜん出てこなかった!!
映画のかなり後ろの方まで「ひょっとして入るスクリーン間違えたのか?」って思っちゃったよ。
前作「パシフィック・リム」が気に入ってる人ほどガッカリする内容と言えるんではないでしょうか。
むしろ前作を観てない人ならすんなり楽しめる……かもしれない。

じゃあ、続編ならではの新しい魅力はあるのか?
そう聞かれると、非常に答えに困ってしまう。
「アップライジング」ならではの魅力、あることはある。
予告編にも登場している、イェーガー同士の戦闘なんかがいい例です。
でも……「パシフィック・リム」でやらなくてもよかったんじゃね? って思ってしまいました。
まったく違うコンセプトで新しい映画撮るべきだったんじゃないかなぁ。


そして僕が一番不満に思っているのが、東京での最終決戦!
いろんなところにリスペクトが感じられない。
映画を作った人は、きっと日本のロボットアニメと怪獣映画が大好きなんだろうけど、そのオタク気質が悪い方に爆発してしまった印象を受けました。
イェーガーとカイジューの戦いをいかにして"自分たちが満足するカッコよさ"で描くか、ってことに執着しすぎて、物語中の東京に住んでる人たちのことを全然考えてない。
イェーガーはいったい誰のために戦ってるんだよってツッコみたくなる。
……言いたいことがありすぎるので詳しくは後半のネタバレパートをお読みください。

全体的に満足度は低い映画でした。
デルトロ監督で撮り直してくれないかな……


ここで、「アップライジング」を観に行く前に、前作「パシフィックリム」を予習しようかな〜と思っている人に朗報です!
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以下、ネタバレ

えっ、カイジュー出てこないの?

はい、ここからネタバレありでいきますよ。

「アップライジング」を観た皆さん、
カイジュー全然出てこねぇ……
ってびっくりしませんでした? したよね??

事情はわかります。
なにせ、前作でカイジューとの戦いは終わったんですから。
そこから10年経って、またカイジューが地球に現れるには、それ相応の理由が必要。

そのために用意されているのが、さんざん繰り返されるイェーガー vs イェーガーのロボット格闘戦、なわけです。
なんだけど、どうにもこれが盛り上がりに欠けるんですよ。

僕自身がロボットにさほど興味がないからなのか、アクションに新しさもなければ、シドニーの景色を活かしきれてないからなのか。
だいたいせっかくシドニーが舞台なんだからオペラハウスくらい壊しとけよ!

「アップライジング」の世界に入りこめるかどうかは、このロボット戦を観て「カイジュー出てこないのか……」とガッカリするか、「ロボット vs ロボットだ! いえーい!!」とテンション上がるかで大きく分かれると思います。

僕は前者だった上に、前作でお気に入りだった森マコがあっさりと退場してしまったので完全に空気の抜けた風船のようになって残りの時間を過ごすことになりました。

シャオ・インダストリーズの扱いがひどい。何がしたかったの?

今作で重要な役割を果たす、中国の企業「シャオ・インダストリーズ」

有人で操作するイェーガーに代わり、遠隔操作ができる「ドローン」を開発、従来のイェーガーの意義を脅かす存在となるはず、なのですが……。
あまりにもいいところがなさ過ぎじゃない?

だってさ、ストーリーの流れを追ってみても、ドローンが暴走してカイジューを呼び出してしまう→時代遅れとなっていたイェーガーが本領を発揮する、そういうお話じゃん。
それなら、一度はドローンが大活躍する場面を用意しなきゃだめだと思うんだけど。
最終決戦までドローン技術がポンコツすぎて、なんでみんなそんなにドローンにこだわってんのかわからない。

そもそも、正体不明のイェーガーがシドニーを襲った時点でドローン技術なんて採用されなくね?
あのイェーガーが遠隔操作されてる可能性だって当然あるわけなんだからさ。
リスク管理を考えるなら、ドローンの採用は即時白紙に戻すのが常識的な判断だと思うんだけどねぇ。

最後まで観ても、シャオ・インダストリーズって何がやりたかったのか、さっぱりわからないままでした。

最終決戦の舞台・東京がいい加減に扱われすぎ!

じゃあ最後に、東京で行われた最終決戦についてツッコみいれましょう。

世界的なカイジューの侵入は食い止めたものの、3体のカイジューが地球へ入り込んでしまった。
彼らはみな一様に日本の富士山を目指している!
プリカーサーの狙いは、巨大カイジューを富士山の火口に放りこみ、そのエネルギーで世界中の火山に連鎖反応を起こし、地球から生命を一掃することだった。
地球を救うためには、日本でやつらを食い止めるしかない!!

……ってな流れで、イェーガーとカイジューとの大決戦が東京で行われることになるわけです。
まぁ多少強引なストーリーとも言えますが、とりあえず棚に上げときましょう。

さて皆さん、東京が最終決戦の舞台であることは事前情報で明らかになってましたよね。
いったい東京のどこなんだろう? ってワクワクしませんでした?
新宿かなー、東京駅周辺かなー、いや外国人への知名度を考えると渋谷かな? とか。

なんとびっくり、実在の東京の建物は全然出てきません。
東京駅も東京タワーもスカイツリーも、渋谷のスクランブル交差点すら出てきません。
映し出されるのは近未来的な高層ビルに、日本語の書かれたたくさんの看板、それだけ。

これじゃ、「東京っぽいどこかの街」じゃねぇか!

シドニーの場面でもオペラハウスはちゃんと大写しになってたというのに……。
東京のランドマークは軒並み無視ですかい?

一番腹が立ったのは、東京のシーンの冒頭に「东京」っていう中国語表記の看板が目立つように出てきたところですよ。
もう、東京って街を記号としてしか消費してない姿勢の表れでしょ?
今作を一番観てくれるであろう中国人観客にとってのわかりやすさが最優先、東京っぽさが出ていればそれでよしかよ。

これが本当に、日本の怪獣映画にオマージュを捧げた「パシフィック・リム」の続編なんですか?
ゴジラやガメラに代表される怪獣映画って、実在の建物ががっしゃんがっしゃん壊れるところに魅力があるわけじゃないですか。
日本だけじゃない、キングコングだってエンパイアステートビルに登ったくらいだし。
前作「パシフィックリム」でもゴールデンゲートブリッジが破壊されてるでしょ。

なのに、かっこよく破壊されるシーンが一個も出てこない、東京……
扱いがひどすぎじゃね?

それから、イェーガーが東京の建物を粗末にしすぎ!!
カイジューとの戦いで、どうしても被害が出ちゃうぶんにはしょうがないよ、許すよ。
でも、ソードをわざわざ周辺の建物にぶち当たるかのようにジャキーン!と抜いてみたり……
スクラッパーがわざわざ高層ビルに接触しながら降下してきたり……
あぁ、この映画を作った人たちは「東京っぽい街並みを、記号のようにがしゃがしゃ壊して遊びたかったんだな」って感じてしまいましたよ。

あと細かいところで、「機動戦士ガンダム」でガンダムをはじめとするモビルスーツを開発してるという設定の会社「アナハイム・エレクトロニクス」の建物と、ガンダムがちょっとだけ映るっていう小ネタがあるんだけど……これもいらなくね??
ガンダム作ってる会社って、完全に「パシフィック・リム」とは別の世界線じゃんよ〜。
っつーか、ガンダム作れるならそれ使ってカイジュー倒せよ〜。

……こんな風に小ネタを小ネタとして楽しめない映画作るなよ〜、もー。


……ということで、非常に残念な「アップライジング」でございました。
でも次回作があるとすれば、今度こそイェーガー vs カイジュー の戦いが存分に拝めそう。
そのためのブリッジとして必要な作品だったってことで、自分の中では消化しようと思います。

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