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【無料あり】「ザ・マジックアワー」のあらすじ・感想。映画が好きな人ほど許せなくなる映画?【ネタバレなし】

今回は、三谷幸喜の監督第4作
「ザ・マジックアワー」
を紹介します!

映画監督としてのキャリアを
着実に積み重ねてきた三谷監督が
満を持して送る、
映画そのものをモチーフにした映画。

ギャグ満載で笑える作品ながら、
なんか腑に落ちない部分も多い、
個人的には消化不良な内容でした。

10点満点中6点

「ザ・マジックアワー」の予告編・あらすじ

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とある港町・守加護(すかご)。
この街はマフィア「天塩商会」に支配されていた。

ひとりの男がマフィアのボスの愛人に手を出してしまい、
命を見逃す代わりに
伝説のスナイパー「デラ富樫」を探してこい
と命じられる。

なかなかデラ富樫を見つけられず
約束の期日が迫る中、
男は機転を利かせて
俳優をだまして街に呼び寄せ、
デラ富樫の演技をさせる
という奇策に打って出る……

「ザ・マジックアワー」のキャスト

・備後登: 妻夫木聡
クラブ「赤い靴」の支配人。
マフィアのボス・天塩の愛人に手を出したことから
伝説のスナイパー「デラ富樫」を探すハメになる。

・村田大樹: 佐藤浩市
売れない映画俳優。
備後にうまく言いくるめられ
「デラ富樫」役を演じに守加護へやってくる。
マフィアが本物だと信じるほどの
名演技を見せるが……

・天塩幸之助: 西田敏行
守加護を牛耳るマフィア組織
「天塩商会」のボス。
裏社会の大物だけに、
常に命を狙われたり
国から目をつけられたりと
トラブルが絶えない。

・高千穂マリ: 深津絵里
クラブ「赤い靴」の踊り子にして、天塩の愛人。
不幸な出生からうまく人を信じられず、
男を次々と手玉に取っている。

・鹿間夏子: 綾瀬はるか
クラブ「赤い靴」の従業員。
備後に好意を寄せており、
偽の映画撮影に協力する。

・鹿間隆: 伊吹吾郎
クラブ「赤い靴」のバーテンダー。
偽の映画撮影にはノリノリで、
撮影用機材をくすねたり
カメラマン役を買って出たりと大活躍。

「ザ・マジックアワー」の感想

映画の撮影だと思いこんでいる俳優と、
本物の殺し屋が来たと思いこんでいるマフィア。
そして、その間で右往左往する男。

三谷幸喜が得意とする
"すれ違いモノ"の王道で、
「ザ・マジックアワー」は
コメディ映画としては
文句なく笑える作品になっています。

ですが、
どうにも手放しに褒められないというか……

いいところもあるけど、
同じかそれ以上にモヤモヤも多い作品
になっちゃってるんですよね。

守加護の街が現実離れしすぎ。ディズニーランドにいるかのよう

本編の主な舞台となる「守加護」。

その中心地の街並みは、
撮影スタジオの中に
大きなセットを組んで作られています。

古き良きアメリカのような
建物の質感はもちろんのこと、
あえて遠近感が崩されていることもあって、
現実感のない街並みになってるんです。

ディズニーランドの中にある
"本物っぽい"街を想像してもらえれば
雰囲気がわかるかと思います。

セットに現実感がないこと自体は
問題ではないし、
レトロな風景は観てて楽しいです。

ただ、
守加護の街が現代日本と地続きになってる
ことには違和感を覚えずにいられません。

守加護の住人たちは
ひょっとして他の社会から
隔離されて生活してるのでは……
とすら思えてきます。

だいたい、
日本の街を牛耳ってるのが「マフィア」
そのトップが「ボス」と呼ばれてるのも
変な話ですよね、笑

この不思議な設定をすんなり飲み込めるか、
そりゃねーだろと拒絶するかで
作品全体の好き嫌いが分かれる部分でしょう。


僕は初見では気にならなかったけど、2回目観たらけっこう気になっちゃった

西田敏行が怖い!まるで「アウトレイジ」

ほかの三谷作品と同じく
「ザ・マジックアワー」には
多彩なキャストが出演していますが、

もっとも魅力的なのは
マフィアのボス役の西田敏行でしょう!

「ゴッドファーザー」に登場した
ドン・コルレオーネそっくりの風貌、
底知れ無さを感じさせるしゃべり方で、
もう見るからに怖い。

なんでも三谷監督は西田さんに
アドリブを完全封印させて、
あの恐ろしい雰囲気を実現したそうです。*1

後の「アウトレイジビヨンド」にも通じるような
"怖い"西田敏行を楽しんでみてください!


特に初登場シーンが怖い

"ラッシュ"のシーンは賛否両論? 映画好きほど許せないらしい

「ザ・マジックアワー」で
僕がいちばん好きなシーンは、
佐藤浩市演じる村田が
"ラッシュ"を観る場面です。

ラッシュとは映画業界の言葉で
編集前の素材テープのこと。

映画終盤、
村田がこのラッシュを観て
大きく心を動かさせる展開があります。

ここがね〜
めちゃくちゃ泣けるんですよ!

三谷映画屈指の感動シーンで、
僕は映画館で観て
うるうる来ちゃいましたね。

……ところが。

どうもこの場面、映画に詳しい人ほど
「映画撮影をナメている」
とカンにさわるらしいんです。

映画評論家としても活躍する
ラッパーの宇多丸さんも、
「あの状況で、そんな簡単に撮影できるわけない」
とこのラッシュの場面を
けちょんけちょんにケナしていました。

僕は映画の撮影技法そのものについては
あまり詳しくないのでよくわかりませんが、

あらためて観てみると
ふつうの映像を感動的な音楽で装飾してるだけ
とも言えそうだなぁと感じました。

三谷監督の映画愛がこめられた
場面だとは思うんですが、
コアな映画ファンが観ると
「愛の浅さ」が露呈してる
シーンにも見えるようですね……


佐藤浩市の表情はほんとにステキなんだけどね

ラストが安っぽいのが残念!

「ラヂオの時間」
「みんなのいえ」と、
もの作りに携わる人々への
深い愛情を映画で表現してきた三谷監督。

「ザ・マジックアワー」では
その愛情が映画自体に向けられ、
「映画を作る力で悪いやつを倒す」
そんなお話になっています。

しかし……
肝心のラストは、あまり
映画の力を感じさせるものではありませんでした。

映画の作り物感が際立ってるし、
悪党がその作り物であっさりと撃退されるしで、

なんだかコロコロコミックの
ギャグ漫画を読んでるような気になりました。

あと、
最後の場面では西田敏行のアドリブが
解禁されてるんですけど、
別にうまいアドリブじゃないんですよねぇ……


ただのキャラ崩壊って感じ


そんなラストシーンのせいで
なんとなくのモヤモヤは残るものの、

コメディ映画としては
三谷流のギャグも冴え渡ってるし、
劇中劇の「暗黒街の用心棒」も
雰囲気めちゃくちゃ出てるし、
サウンドトラックも良質だしで
「いい映画を観た感」はあります。

最近ちょっと落ち込みがち、
なんか笑える映画でも観て気分転換したい!

そんなときには
「ザ・マジックアワー」
おすすめですよ。


良くも悪くも軽い映画と言えるかもね〜


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